広げているのは昔から持っている自立式のオーニング。180度にとどまらず270度を覆って日陰を作る。こちらも強風時以外はロープ張りやペグも必要とせず自立しているので30秒で用意でき、30秒で仕舞える。
「こんな大掛かりなものいらん!」と思う人が多いだろう。私も登山部出身であり常に最軽量を志向し、海外の長大重厚なキャンプ道具には当初ものすごい拒否反応だった。ただそれは土俵の違いだったと今ならわかる。
毎年参加する野鳥調査では砂漠に近い無人地帯につき14日間全く補給ができないため、水だけで180リットルを車に積んでいく。150Lのガソリンがいる。スペアタイヤも二つ持ち、大量の食料とガス缶、着替えが加わる。それら一切を積んで悪路を走れるのは大型4WDだけであり、大型車は数百キロの追加荷重があっても走りや燃費にあまり影響はない。野営地は毎日移動させられ、地面も石やトゲのある植物だらけでデコボコ。もしルーフトップテントでなければ毎日テントを貼る場所探しに大変苦労し、毎日それを広げては畳んで広げては畳んで14日間を過ごすと発狂する(した)。設営と撤収に従来のキャンプスタイルだと毎日1時間半かかるとして、ルーフトップテントならそれが五分程度に短縮される。
私は登山部スタイルもオーストラリアの物量スタイルもどちらのスタイルも経験して、どちらの道具も知識ももち、使い分けてこの大陸をさすらう事を痛快と考える。