雲が集まり出し、ついに久々の雨が降りそうになってきたアウトバック。朝一は餌を採ったりしていた群れもいたが、日がある程度登り出したらほぼ全てのセキセイインコの群れが同一の方角へ向けて、ほぼ同じような高度で移動を開始した。それは無限にも思えるほどの深みで地平線の方からも途切れることなく湧き上がって「一斉移動が始まった瞬間」に立ち会うことになった。むしろこれを見るのは一番難しいのでは…
セキセイインコの大行列と並走しながら我々も移動することにした。というのも以前から予約していた宿がキャンセル出来ず、使わないでお金だけ戻ってこないのも悔いが残るし既に見たいものも見てしまったし半ば観光として最後の一泊だけしに向かった。途中までセキセイインコ達と方角も一緒だったが、それは次第に離れて行った。
生きているうちにまたこういうのを見る機会があるだろうか…?仮にもう生涯なかったとしても私はこの二日間で見たものを誇りに思うし、素晴らしい一生を過ごしたといって息をひきとると思う。偶然セキセイインコの大群に居合わせました、というのと10年間我々が彼らを追いかけて過ごしてきたとでは意味が違う。遥か遠くになってしまったセキセイインコの大編隊を見おくりつつハンドルを切った。さよなら、また会う日があれば、その時までお互い壮健であれ
休憩中「エリマキトカゲが走っていった!!」と言うので振り返ると、脱皮した皮をヒラヒラさせているギルバートドラゴンだったが。
アウトバックの人の流れの中心であるパブ(酒場兼食堂)が大好き。飲めないけど。オーストラリア臭溢れる施設だし、もう少し奥に目をやればそこには地平線。日本にはこんな場所はない。
客はオーストラリアヅルとからしいぞ。
ああ…いいなぁ。
細い流れ込みには明るいうちからケナガワラルー達が給水に。放牧がされていない土地(国立公園や保護区など)での動物の多さは桁が違う。野鳥ガイドとして消極的には支持しているのが畜産業なのだけど(他の多くの産業よりはマシ)、それでも手付かずのブッシュとは雲泥の差がある。
ということで当初3泊過ごす予定だったエリアにやってきた。
ノーザンリバーレッドガムとビラボンの組み合わせは最高だな。
10年間もセキセイインコを追いかけていると、幾つもある水場でも彼らが来そうなそれと望みがなさそうなそれとが見ただけでわかる。規模の問題ではなく立地や角度、植生や日当たりなどだ。
あっマダラニワシドリ。
数多くの水場を覗いた結果、私はこの特定の池に近隣のセキセイは飛来すると予想した。
それは翌朝、概ね的中することになる。お前はセキセイインコか!
ミッチェルグラスやカンガルーグラスによる素晴らしいネイティブ草原地帯。これはオオカンガルーだぞ
水場にはケナガワラルー。