クサインコの中で出会うのが難しい種といえばダーウィンのズグロサメインコが挙げられることが多い。私はカカドゥ南部にポイントを持っているけど、全体的に数が少なくかと思えばダーウィン市内にもいたりするつかみどころのない相手だ。亜種レベルまで入れて考えると、アカクサインコのアサートン高原に分布する亜種、通称ネッタイアカクサインコ(写真)が浮上してくる。この亜種は適当にバードウォッチングしていてもまず出会うことはないだろう。その一方でいくつかの山上にある特殊な友人宅には「毎回絶対いる」という対照的な存在だ。
先日Twitterにも書いたけどクサインコ(英語でRosella)の語源はシドニーに入植が始まった1700年代に多数のクサインコが暮らしていた地名Rose Hillにちなむ。ローズヒル・パロットがローズヒラーに略され、さらにローゼラーになった。つまりシドニーのRose Hillはクサインコの発祥の聖地である。
なお、タイプ標本記載地や第一発見場所がその後の300年400年間でめちゃくちゃに開発されて「こんなところが!?」と跡形もなくなるのは博物学あるあるで、ローズヒルも例外ではない。今では人口500万人都市の中心部に近い。