Site icon 【公式】オーストラリア唯一の日本語専門バードウォッチングガイド 太田祐(AAK Nature Watch)

ネグラの末期 キバタン


この数年キバタンが集団でねぐらをとっている場所がある。ねぐらというのは不変のものではなく一時的なもので、オウムやトキにねぐらにされた木が次第に弱っていって枯れ、ねぐらも移動する。例の場所も6本あったメラルカの大木の内3本は枯死して切り倒され、今なお立っているのは3本。そのうちの1本は既に枯死ている。残りの2本もよれよれの状態だ。何度も枝を払われ、全盛期の三分の二程度の高さになっている。「次にケアンズにいらっしゃる際は多分もうキバタン達はここにはいないでしょうね」と伝えている。



←鳥のねぐらにされたため枯れ枝となった部分を剪定する業者。枯れた枝が落下して命中すれば人命に関わるから。このQueensland Blue Gumという樹木は”未亡人製造器”の異名を持つ。


鳥が集まる→枝が枯れる→剪定される→それでも鳥が集まる→更に枯れる→更に剪定される

が繰り返され、大木はみるみる低い木となっていき、そのうち切り倒される。土地の所有者に理解がなければ、いきなり切り倒すだろう。だって土地は汚れ、管理は高額で、おまけに訳の分からない日本人が買い物もせずに鳥を見るだけに出入りされたらたまらない。

別の大きな懸念として、集まっているキバタンの数パーセントは感染したら最後、不治の伝染病であるPBFDに罹っている。その病原菌は脂粉や羽としてねぐら足下に大量に散らばっており、みんなの靴底やタイヤに付着してケアンズ全域や果ては日本まで持ち帰られ、ペットや野生の鳥たちを緩慢で苦しみに満ちた残酷な死に追いやっている可能性もある。

PBFDと聞けば動物園やペット業界関係者は震えあがる存在だが、その辺を理解した上で、説明した上で、観光バスで人を連れてきているのか?訪問後、全員の靴やタイヤは当然消毒しているんだよね?


何事でも経験不足と生半可な知識で参入するとひどい目に遭う。

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