Site icon 【公式】オーストラリア唯一の日本語専門バードウォッチングガイド 太田祐(AAK Nature Watch)

ツアー料金の裏側  - 法人は甘くない

先日ツアーに参加されたかたと、こんな話になった。


その人が暮らす日本のある南の島はエコツーリズムが盛んで、島での一日ガイド料金は一人一万五千円だという。三人なら四万五千円、十人なら十万五千円になり夏の間だけで三百万円は荒稼ぎしているんじゃないか、ということだった。


実はこれは誤解で、法人である限り合法的に運営を行うには多くの費用がかかっている。個人の財布とは根本から違う。これがオーストラリアの話としてちょっと解剖してみたい。


「夏の間だけで三百万円は荒稼ぎしているんじゃないか」という点から推測して、その島のエコガイド業者の年間売り上げが500万円とする。まずオーストラリアなら消費税で売り上げの10%は国に請求されるのでその時点で約455万円に減る。


次に、商売として車を動かしたり人を案内するには官庁からの多くの認可や特殊保険への加入を必要とする。それは年間100万円クラスの負担になり(興味がある人はこちら)、それを考えると売り上げは実質もう約350万円に減る。


そこから経費を払う。大量のガソリン代、事務所経費、バスや4WD維持費、銀行経費、会計事務所経費、Webデザイン経費などなど。月に15万円、年間180万円としたら、なお手元に残っているのはもう170万円。


それに法人税がかかる。オーストラリアなら会社規模に関わらず30%だから50万円以上国に請求されて、最後に119万円が所得として残る。


こうして実質手取りは100万円強なのに、世間に「500万円も稼いでいる」ととられてしまうことがある実例。

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