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キンセイチョウ 絶滅危惧亜種cinctaの映像

キンセイチョウ 絶滅危惧亜種cincta
これはキンセイチョウなんだけど、広い範囲に分布する亜種atropygialisではなく、絶滅危惧亜種である亜種cinctaの方だ。ちゃんと撮影したのは初めて。cinctaはケアンズの南300kmのタウンズビル西方に分布している亜種で、推定生存数は800羽とされる。


図鑑を見た方が早いか。茶色く塗られているのがcinctaの分布域で、亜種としては異例の注目度を持っている。なぜならこの生息地のど真ん中にインド資本による大規模な石炭鉱山開発が発表されると、それを阻止するためにキンセイチョウの亜種cinctaは絶滅危惧亜種であることから反対運動の旗手に祭り上げられた。正直いって『…まあ亜種じゃん。しかも普通種の』と私は思ってしまうのだけど、オーストラリア野鳥の会をはじめとするcinctaの生息地を守れ!という運動は結構激しくてオーストラリアで今最も注目されている『亜種』だと思う。

ちなみに亜種cinctaって分布図以外に外見で見分けれるんですか?というと可能です。腰が白いことが特徴。対して広い範囲に分布する亜種atropygialisは腰は真っ黒だ。


まっすぐ立っていても腰が白い部分は少しだけ見えるけど、こうして身体を捻ったりするとよくわかる。ちなみにこれら一連の画像は狙って撮りにいったものではなく、ドライブ中に車の前を横切った3羽を見てたまたま追いかけたもの。何も考えていない運転中でも腰が白いのはすぐ気がついた。

なお私は亜種cinctaが分布しないとされるチラゴーで40年ぶりに記録した過去がある。詳しくは⇩

チラゴー・フィンチ調査ボランティア(後編)

二つの亜種の分布は一見分断されているようだけど、よくみると茶色のcinctaの勢力圏は緑色のエリア南東部にもうっすら混じっているのが図鑑からも見て取れる。そんな生き残りのような1羽を40年ぶりに見つけたのだと思う。


今回、たまたまドライブ中に前を横切ったので思い出ししばらく追いかけたこのキンセイチョウ亜種cinctaだけど、絶滅危惧種という言葉が盛んに踊るのでもっともっと難しいものだと思っていた。国道脇の草むらに20羽以上
いたと思う。(続く)

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