背後に積み上げられたのは膨大な量の小枝。ケアンズ周辺の固有種であるオウゴンニワシドリは、ニワシドリの仲間で最小の身体ながら、築き上げるアズマヤ(求愛用の建築物)は最大とされる。小枝の山以外にも、足下のカーペットのようなサルオコゼも、背後の柑橘類の花も全て彼が収集してきた物だ。
その、鳥が鳴いているとは到底思えない拍子木のような奇抜な鳴き声にシビれる。手元の生物進化年表には
『今からおよそ5400万年前 最初の鳴禽類が地球に出現』
という記載と共に、どうみてもオウゴンニワシドリに見えるイラストが添えられている。オウゴンニワシドリが5400万年前から姿を変えずオーストラリアに続いているとは思いがたいが、古い時代の鳥類であることは確か。
こうしてオウゴンニワシドリがアズマヤにいるのはケアンズの春から初夏にかけて。暗い、狭い、傾斜地、ヒルや線虫、その他大人の事情により少人数の場合み訪問可。