Site icon 【公式】オーストラリア唯一の日本語専門バードウォッチングガイド 太田祐(AAK Nature Watch)

移住当初を思い出すヒメミツユビカワセミ

今ではオーストラリアでの探鳥は、車でできるだけポイントの近くに乗りつけては少しだけ歩き、目的を終えたらまた車で移動するというラン&ガンスタイルになり、何時間も歩いて行うことは地元ケアンズにおいてはほとんどなくなった。しかし移住当時は車を持っていなかったり、そもそもピンポイントを持っていなくて広範囲を歩いての探鳥をよくしていた。

先日車を点検修理に丸一日預けるのを利用して、かつてよく歩いていたエリアをカメラを持って一周する機会があった。だいたい25000歩。オーストラリアでは200m移動するなら車を使う社会なので、大型のカメラを持ってだと「かなり歩いた」という距離になる。移住当時は自分のスキルももちろんのこと、その上泣きたくなるような悲惨な機材しかなく、ある程度見せられる写真を撮るには晴天の日でかつ数メートル以内にまで野鳥に近づく必要があった。

こうした下積みを経て人々は「音を立てずに歩いて野鳥に接近する」「野鳥が目を逸らした隙に動く」などのさまざまなスキルを取得する。ところが年配になってからいきなり野鳥撮影の世界に入ってくる人はこの基礎練習を経ておらず、いきなり優秀な機材を揃えられるので苦労をしておらずスキルを磨く機会がない。ガイドをしていて時に歯がゆいのはこのタイプの方々。野鳥観察(撮影)に関しては、若く始めた方が絶対に有利であり、20代の頃からずっと続けているという人を50代から初めた人が逆転するのはほぼ不可能だと思う。
ヒメミツユビカワセミ2022
ケアンズには現在多くのヒメミツユビカワセミが滞在しているようだった。少なくても3羽は見かけたけど、もっといるのかもしれない。一方で水鳥や山野の小鳥は少なく感じだ。

2000年代前半。当時、ケアンズは鳥で満ち溢れていた。だから未熟な私でも十分ガイドができた。2009-2010年にかけて丸2年雨が降り続き、野鳥が姿を消したあの頃までが全盛期だったと思う。今はその減少分をスキルと機材の進歩で補っている。

いろいろなことを思い出した1日だった。

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