Site icon 【公式】オーストラリア唯一の日本語専門バードウォッチングガイド 太田祐(AAK Nature Watch)

セスジムシクイ調査2021 その1

セスジムシクイ調査2021今年も恒例のセスジムシクイ調査の時期がやってきた。仕事を休んで2週間もの間、水も電気も電波もない辺境を毎日移動しながらセスジムシクイを探して道のない岩山や棘だらけの原野を歩き回るボランティアの何が楽しいのか自分でもさっぱりわからない調査に協力してもう7年になる。

今年は大きな世代交代があり、老グラハム博士に変わって円陣の中心で調査について説明しているのは博士課程の学生に成長した若きヘンリーである。ヘンリーとは過去記事を↓


全員集合は初日の夜だけで、翌日からはA,B,Cの三班に分かれて散開。トレーニングなども各班ごとに行われる。私は今年もB班を率いることになり説明をしている姿。私も日本人のくせにいつの間にか偉くなったもんだな。パートナーがオーストラリア人だとか、過去のパートナーがオーストラリア人だったとかでもない、純粋100%の日本人なのに。


C班のリーダーは長年極めて原始的な装備でこの世界で過ごしてきてよくネタにされてきたが、年齢的な体の衰えもあり今年一気に宇宙船のようなスーパー4WDキャンピングカーを引っ提げて参戦。荷台に載っているこの宇宙船とランドクルーザートラックの値段を合計すると約1500万円になる。これを受け取りに往復で6000kmドライブしてきたそうだ(ゼロを一つ見間違えないように)。色々一気に突き抜けて人生まとめに入ってきたな…。ちなみに彼らは70代前半で今からオフロードキャンピングカーを買って砂漠や原野に飛び出そうとか、日本人には絶対にいないタイプ。

セスジムシクイ調査のキャンプ生活について補足すると、野営をする場所が毎日変わるので設営と撤収に時間がかかるスタイル(たくさんのペグやら空気を注入したり抜いたりやら)は敬遠される。私も一度そんな装備で参加したことがあるが、もう2度とやりたくない。遊びに来てるわけじゃないから寝袋を毎日畳むのもマットを毎日畳むの膨らませるのももうんざりだ。この写真はベースキャンプなので路面の条件がいいけど、二日目以降はもっと石だらけ棘のある硬い植物だらけ起伏だらけのメチャクチャな適当な山野で野営になるため、そもそも地面に寝るスタイルも難しい。そうなると必然的に車の上で寝るスタイルが人気が出る。私は過去3年はルーフトップテントを愛用している。

ついにルーフトップテント(ハードタイプ)に行き着いてしまった

【生き物業界変な人 その2】

話は変わるが、セスジムシクイ調査に向けてマランダを出発したあたりから大きな仕事の話が同時に複数入り、私はてんてこまいになった。なにしろほとんど圏外の辺境でネットがない。衛星携帯電話でとりあえず電話の発信はできるが。そこで私は毎日岩山にノートパソコンを抱えて登っては通常の携帯電話の電波を探し、てっぺんでオフィスワークをするという、こんな辺境まで来てリモートワークを展開していた。

英語で辺境はRemote areaというからリモート・リモートワークか?

セスジムシクイ調査B班という4台の4WDとトレーラー1台という布陣のトレーニングや運用、意思決定を全部任されつつ、大量の自分自身の仕事をさばかねばならないという事態に直面していた。しかもほぼ圏外の辺境で。


岩山てっぺんにある太田オフィスからの眺め。地平線までもうめちゃくちゃ原野じゃん勘弁してくれ。留守番用に太田祐がもう1人必要だ。

とか言いつつも調査二日目にはセスジムシクイ2種が記録され三日目にはB班全員がムナジロセスジムシクイを見られたという快調なスタート。このペアは私が見つけ、遠くない場所にいたB班メンバーを無線で呼び寄せた。

私が昔初めて参加した時は13日目までセスジムシクイに出会えなかったぞ?

モリツバメが集まっている場所には幸がある。今回はカオグロ・ホオグロ・ヒメ・マミジロという4種類のモリツバメが集まっていた。特にマミジロがこんなクィーンズランド州北部まで来るのは珍しい。

セスジムシクイと誤認されることもあるマルオセッカ。

よくそんな枯れ草に掴まって倒れないな。

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