オーストラリア区に生息するキノボリカンガルーの仲間の中では最小の種類になる。彼らキノボリカンガルーは、熱帯雨林から草原へ展開して行ったカンガルーの古代の流れに逆行して、草原へ出て行ったのに再びUターンして熱帯雨林に戻って来た動物と考えられている。海から陸へ進出しておきながらまた海へ戻って行ったほ乳類クジラなどと同じ。
学名 | Dendrolagus lumholtzi |
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英名 | Lumholtz’s Tree Kangaroo |
キノボリカンガルーはカンガルーなのに後ずさりでき、ものを掴めて、右足と左足をばらばらに動かせ、かなり高い所から飛び降りても平気である。車を運転中、いきなり前方の路上に空から落ちてきたと思ったらボールのように何度もバウンドして消えていった事がある。図鑑(Steve Parish)では「15m以上の高さから飛び降りても大丈夫」とある。それは、どの程度のサンプル数から割り出したものなんだ?
そう、彼らはこういう面積の広い葉(例えばキャンドルナットのような)を好んで食べている気がする。サイズ的にもあまり競合するような生き物もいない。
これだけ長ければポッサムやクモザルなどのように尾を枝に巻き付けてぶら下がったりとか、自分の尾を掴んで枝に戻ったりとか出来ればかなり有効な機構となるはずだが実際はそういったアクロバティックな動きはせず、コアラ的なかなりのろまな動物である。木から降りるときも、普通にお尻を下に、頭を上にしてずりずりと人間のように降りて来る。
彼らキノボリカンガルーは森、それも木と木が密集して重なり合っているような高密度の森林に生活を依存しており、ケアンズ周辺の世界遺産「湿潤熱帯地域(Wet Tropics)」のキーストーン種であり、独特の外見と存在感から象徴種(flagship species)でもあるといえる。