欧米のツアー会社に一年以上前から6月下旬から12月までのスケジュールを抑えられてしまう近年、直前まで旅行の計画を立てない傾向にある日本の方々がお申し込みできるAAK Nature Watchのツアーがない、という状況が続いている。そこで繁忙期になる前に可能なツアーとしてサバンナウェイ7日間を企画し、今年から募集することにした。参加者は飛行機でマウントアイザへ到着するので、私は1日半前に自宅を出て1人車でマウントアイザへ向かった。実に18回目の訪問。

今回はマイクロバスとかより高価なAAK Nature Watchが誇るランドクルーザー200を起用。ノーマントン近くでキャンプしたのち、翌日マウントアイザへ入りその晩はちゃんと疲れをとってツアーに備えるため宿に泊まった。なおランドクルーザー200は折り畳み式ではない長さ1.2mものテーブルを内蔵。期待した通りこれがキャンプで超ありがたかった。なんでもかんでも大きなテーブルの上におけるこの快適さ。高校の時から単独登山を初めて30年。ギア的には終着点に達した感がある。

ジョージタウンを通り過ぎる際にちょっと偵察。ヌマウズラの群れが歩いていた。セキセイやオカメインコはいなさそう。
マウントアイザにお客さん達が到着する朝、いつもの場所を覗くとそこだけで7種類くらいのインコやオウムが。オカメインコもとりあえず4羽いた。さすがマウントアイザだ、これだけ揃っていれば試合になるぞと揚々とマウントアイザ空港へ迎えに行くと「聞きましたか?飛行機の積載量オーバーでスーツケースを乗せてもらえなかったんです」という第一声。それも4人とも。「今夜マウントアイザに届くから宿に届けるので大丈夫だ」と航空会社は言うが私たちはシンプソン砂漠の方へ行ってしまうので明日空港で受け取ることにし、パジャマや歯ブラシなどが入った非常用セットを出してもらい空港を出発した。シンプソン砂漠の朝は寒いぞ。こりゃあなかなかのスタートだ。
とはいっても一箇所で7種類のインコやオウムが見られるマウントアイザ。最初にポイントで盛り上がっているうちにお昼近くになってしまい、ちょっと急いで出発する。写真が何もなくてすみません。

シンプソン砂漠への道のりの名物は圧倒的な数のオナガイヌワシだ。もうまるでトビか何かかと言うほどにいる。

一本の木に4羽止まっていて20mほどの距離で逃げない、と言うのは日本のイヌワシのイメージで考えると頭がおかしくなる。

モモイロインコは3000羽くらいいて圧巻。バーク川ではズアカガケツバメやコシアカショウビン、シロガシラサギやオーストラリアヅルなど幅広い野鳥を楽しむ。翌朝は強い砂漠の冷え込みの中、いよいよ全く樹木や下草のないシンプソン砂漠へ突入。

圧巻の景色。圧倒的な空の大きさと大地以外に何も存在しないというこの緊張感。遠くないうちにシンプソン砂漠を愛車で横断してみたい。そして満天の星空と360度地平線の中でコットに横たわって考え事をしたい。

と観光に来たわけではなくて、ようやくまとまった数でオカメインコ登場。初めて見た人は感動していた。セキセイインコもパラパラ出現。こんな馬鹿馬鹿しいほどまでの辺境まで来ないと、この国民的飼い鳥を見ることができないと言うのが痛快。
翌日はマウントアイザへ引き返す日。ショウキバトやディンゴ、オカメインコなどを楽しみつつ、実は一番みんなが気にしていた【マウントアイザ空港でスーツケースを本当に今日受け取れるか】と言うミッションを完了した。夜は私が会員になっているレストランで乾杯。翌日は北上しグレゴリーへ。その移動途中、道端にできた水たまりが気になってUターンしてちょっと待っていると

セキセイ来たー!

キンカチョウも次々に飛来。結局、この水溜まりを椅子(人数分用意してきているキャンプ用の)に座って眺めながらお弁当にした。無数にあるただの水たまりの一つに何か雰囲気を感じてUターンすると言う手を打てるようになるまでに、私がどれだけ途方もない歳月をオーストラリアの野外で費やしてきたか察してほしい。皆さんがグルメを楽しんでいる時も、洋服を買いに出かける時も、盆踊りや映画鑑賞をしている時も、飲み会をしている時も、ミクシイやラインをしている時も、多分私は砂漠で鳥や広い空を見ていた。

と言うとカッコいいが、私には他に興味があることがこの世の中に無いのでね。
ただ今日はこんな展開になるかも?と言う予想はあって、原野でも林でもどこでもご飯にできるようにこの日のランチはお弁当式にして保冷バックに携帯していたという鬼手配には金星をあげてもいい。(続く)