今から10年以上前、当時まだ仕事が暇だったこともあり私はよくジェームスクック大学の市民夜間講義に英語の習得と自然科学の勉強の両方を兼ねて一人でよく足を伸ばしていた。こういった積み重ねが当時の同僚たちと私との間で現在の決定的な差をつけることになる。まあそれは置いておくとして、その時の講演の一つで『現代の一軒家は価格の高騰に対応して敷地面積が昔の4分の1くらいに縮んでおり家屋だけで目一杯、庭も木もなくこれでは生態系として全く機能しないから、環境の観点からはそんな小さな家を買ってはいけない』というのがあった。
講演「熱帯の裏庭」
この話を思い出したのは、先日ケアンズ郊外の新興住宅街に中古家具を個人売買で買いに行って地図を見ていたときで、そこはまるでプラモデルのような小さな家がひしめいて整然と並んでいた。その狭さは確かに庭どころか木一本さえ植えるのも難しそうで、何の生き物も利用できなそうだった。ほとんど樹木がない庭が500件分集まってもゼロでしかない。
「なんかこの緑地、鳥が少なくなったよね」というのはこうした周辺の補助的な環境の破壊が影響しないわけはない。